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大阪高等裁判所 昭和50年(け)14号 決定

主文

本件申立を棄却する。

理由

本件異議申立の理由は、原決定は申立人が彦根簡易裁判所昭和四九年(ろ)第三六号道路交通法違反被告事件の訴訟費用負担の裁判についてその執行の免除を申し立てたのに対し、右申立は右裁判が確定した同年九月一七日から刑事訴訟法五〇〇条二項の定める二〇日の期間経過後の同年一〇月一三日になされたことを理由にこれを却下したが、彦根簡易裁判所が申立人あてに発行した文書には、右期間は三〇日である旨明記されている。本件却下決定は取消されるべきものであるというのである。

案ずるに、刑事訴訟法五〇〇条二項によれば、訴訟費用負担の裁判の執行免除の申立は、右法定の二〇日以内にしなければ不適法であることは原判示のとおりである。そして、本件異議申立書添付の書面によると、彦根簡易裁判所の係官が法定期間は三〇日である旨を申立人に教示したかのごとくであるけれども、もし申立人がこの書面の趣旨に従つたため法定期間内に執行免除の申立書を提出しなかつたものとしても、訴訟費用負担の裁判の執行免除の申立については申立権回復の請求も認められないこと(最高裁判所第一小法廷昭和三六年七月一三日決定、刑集一五巻七号一〇八二頁参照)からすると、そのために本件執行免除の申立が適法となることはなく、申立人主張の右事情を参酌しても、これを不適法として却下した原決定に違法不当の点はない。本件異議申立は理由がない。

よつて、刑事訴訟法四二八条三項、四二六条一項により主文のとおり決定する。

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